GH8 インプレッサ ターボ センターデフ交換

センターデフとは?

センターデフ交換の作業の説明をする前に、センターデフとはなんぞや?と思われる方もおられると思うので、センターデフについて簡単に説明します。

センターデフは文字通り、センターに位置するデファレンシャルになり、4WDに採用されるメカニズムの1つです。

通常の2WD車はFFやFRと前輪か後輪をスムーズに回す為に、内輪と外輪の回転差を埋めるデファレンシャルギアが装備されています。

内側のタイヤと外側のタイヤはカーブ時に通る軌道が内側の方が短いため、左右のタイヤが一本の軸になっていると回転差でスリップし、快適に運転することが難しくなります。(あえて一定の条件下で一本軸のようにする仕組みもありますが…)

4WD車の場合は、FFやFRとちがい前後どちらかが駆動するのではなく、4輪が駆動して力を伝えるために、左右の回転差のみではなく、前後のタイヤの回転差を埋めるデファレンシャルギアのようなメカが装備されています。

スポーツモデルやクロカンモデル、乗用モデルで快適性を重視するか、悪路走破性を重視するか、によりメカ的な仕組みは異なりますが、基本的な考え方は殆んど同じで、取り付け箇所は前輪と後輪の間、つまりセンター部分に装着されるためセンターデフと呼ばれます。

故障した時の症状

センターデフが故障した場合の症状で多いのが、ハンドルをいっぱいに切った際に、車の動きが渋く『グゥ~』や『ググググ』といった鈍い音が発生するケースです。昔のスズキ車に多くありました。スズキの場合は前輪と後輪を繋ぐプロペラシャフトの中間に『ビスカスカップリング』と呼ばれるタイプのセンターデフになりますが、非常に高額だったのを覚えています。

音を出す場合は、前輪と後輪の回転差を吸収できなくなり、4WDが直結に近い状態になっている場合が多いです。

昔のサンバーはセンターデフがフリーの状態となり、4WDになってると思いきや、ほぼRR状態になっているパターンもありました。

雪道でアクセルONでやたら回頭性が良いサンバーだと思ったら4WD状態ではなかったんですね。

今回のインプレッサの場合は以下の症状が発生していました。

症状

  • 直進時は速度問わず発生せず、ハンドルを切って車庫入れ時に車体真ん中付近から『ググググッ』と異音が発生
  • 前進、後退でも発生
  • 高速走行後に発生頻度が高いく、一般道走行後では発生しない

以上を踏まえた上で、お客さんと相談しセンターデフと判断、部品の交換準備を行いました。

交換作業までの準備

自分自身、全ての車の構造を把握しているわけではなく、入庫した車両において知識を有していない場合は調べてからの作業になります。

今回のこちらの作業は初めての作業になり、事前に該当箇所の部品図面と整備マニュアルを照らし合わせて、必要な部品の注文を行いました。

お客さん自身も非常に詳しいので、YouTubeを参考に様々な意見を頂きました。

ただし、同年式の同型の部品が付いているとは限らない為、マニュアルベースで照らし合わせを行っています。

センターデフはミッション内部の後ろ側に装着されているのでミッションを割る必要がありますが、こちらのミッションは年式、型式的に紙のガスケットではなく液体のガスケットを塗るタイプとなっていました。

交換作業

実際のセンターデフです。

これの交換に合わせて細かい部品も幾つか注文しました。

マフラーやプロペラシャフトを取り外して、ミッションオイルも抜いていきます。

またシフト類の細かい部品も同時に取り除きました。

周りのボルトを外して、丁寧にケースを割っていこうと思います。

取り外したケースの裏側?中身になります。

大きく内部に鎮座しているこの部品がセンターデフになります。

センターデフを取り外したMT内部
ベアリング類も交換しておきます。

交換作業全てを写真に残しながらは作業できないので割愛箇所も多いですが、センターデフを新品に交換し、細かいパーツも同時に交換しました。

また、同時に清掃を行い液体ガスケットの塗布部分の脱脂をしています。

均一に新しい液体ガスケットを塗布して組付け、車両を復元してオイルを補充しました。

漏れがないかの確認を行い、お客さんより試乗して頂きトラブルや異常がないことを確認してもらっています。

発生していた症状も完治し、無事に納車することができて安心しました(^-^)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です